2022年2月26日土曜日

【活動日誌】映像特別編(その2)後半

映像特別編(その2)後半
2022226日(土)13:3016:30

参加者:16名・見学者3

講師:上田謙太郎さん

 

みんなで1分動画を鑑賞して、メモしたコメントを共有して、いよいよ「ナレーション」づくりです。


●ナレーションづくりのポイント

自分の映像を見ながらナレーションをつくってみます。最後、映像に生で言葉をあてるので、演劇の要素が入りますね。


・私

(上田さん)テーマが「わたしの好きなもの」なので、「私」の存在がわかるようにしてください。どういうふうに私の存在を明示するか、「これが私です」って言うとか、ある人物と自分の関係を言うとか。たとえば車越しのショットはその視点からの人の気配があるので、なんらか自分の存在をわかってもらったらいいですね。

 

・説明

・想像

(上田さん)あまりにも疑問にこたえていない映像だと、観客はその疑問にとらわれてしまって作品の中身を味わえなくなるので、多少説明の要素は必要かな。そしてこれと矛盾する考えだけど、観客がいろんなことを想像していろんな感覚・印象をもてるように余白をつくる。いいバランスを苦しみながらつくるのが映画づくりの肝になるかなあと。

 

・スタイル

(上田さん)「わたしのつぶやき」「登場人物のセリフ」「詩」「会話」「ニュースのようなナレーション」…いろんなスタイルがあるので、自分で考えてみてください。では、音を消して自分の映像を見ながらやってみましょう。

 

●ナレーション付き1分動画、みんなで鑑賞

(上田さん)グループ単位で映像を流すので自分の映像にナレーションをあててください。では、上映会です!

 

「雪の道って、大変なんだ」…

(上田さん)ご自身の車椅子での歩き方をベースに語られていて「そうか」と発見があります。動きがスムーズで見ていて楽しい。エレベーターの扉が開く動きも含めて、動きに注目して見る映像。光もきれいですね。


「だいたい私が描くイラストはオリキャラです」…


(上田さん)時間の経過、朝の光とかいいですよね。イラストの横に「完成」って書くのもいい。SNSにアップするとか、リアルな若い子の実態が見えて「わたし」っていうテーマに合っていますね。



「東洋のスイスと呼ばれる、長野県諏訪湖」…


(上田さん)生活してる人の目線でならではの、ずっとそこにいるからこそ撮れるショットがいっぱいあって、観光映像とまた違う。言葉がついて「富士山」があるのもわかって。湖との暮らし、日常が出ていて美しいショットですね。



「父さーん、さんべさんの民宿に行こうよー」…


(上田さん)かわいいだるま。ちょっとずつ歩いていって、ころんでふりむいて、宿の主がご自身っていうストーリーで。お風呂に入ってるショット、よく見たらガーゼでタオルを表現していて、細かいところを工夫して表現してるのもいいですね。暖炉とか、長野県の暮らしが感じられるかわいらしい作品ですね。


 

「ん?なんだ?」…


(上田さん)白黒で言葉も少なくて、映像をじーっと見たくなる作品でした。白黒で世界を見るのっておもしろいですね。ナレーションをしゃべってる男の視点としてカメラがあって進んでいく感じ。撮り方が端正で、ものと空間の距離感が均一になって引き込まれていく感覚がありますね。


 

「男の隠れ家的、我が家の地下室」…


(上田さん)CMをきいているような声で、ダンディな世界観がでていますね。これはわたしが編集しました。ラジカセの音楽をいかして時間が続いていくふうにしたり。ナレーションに「引力」とあったんですが、カメラが揺れながら動いていくのと合ってて、不思議な感覚になりました。体感が伝わってきましたね。


 

「明日は市民大学の卒業式だ」…


(上田さん)プライベートな空間では撮る人、撮られる人の関係性が写るんですが、みなさんリラックスして緊張してない様子で、関係性がショットに出ているなあと思いました。親しみのあるやさしい作品でしたね。

 


「よく降ったなあ」…


(上田さん)ショットのすべてに雪が写っていて、視覚的な統一感があってきれい。わたしが編集したのですが、映画の手法で、何かを見ている人の顔と別のものをつなげると、それを見ているように見える。それをやっています。落ちていく雪に「もうすぐ春がくる」って言葉があって、美しくつながりましたね。


 

「ミニクーパーでドライブ」…


(上田さん)日曜の午後、家の外を眺めてる。シーツがふわっと揺れる。なんでもないショットなんだけどとてもきれい。すきなものを並列に並べていても言葉によって有機的につながっていって、人となりが見えてきますね。最後の列車のショットも、ナレーションによって立ち上がってくるものが変わっておもしろいですね。


 

「ここは、小さな絵本美術館」…


(上田さん)考えて、必要なものを入れて、端正につなげて積み重ねていった映像で、ナレーションを聞いたら「あ、こういうことだったのか」ということが後からたくさんわかって。「私」を通した作家紹介のような、フィルムエッセイのようなさわやかな作品でした。


 

「今日は、私の隠れ家へご招待します」…


(上田さん)写っているものと作者との関係性がナレーションで示されていきますね。なかで、見てる人と見てるものっていう劇映画的な手法が使われていてすごくいい。中と外がバランスよく順繰りに提示されて、すごく整理された映像でした。


 

1月、待望の天使が我が家に」


(上田さん)わたしが編集しました。足、手、細部に注目しているのを近くに配置して、いとおしく思ってるのが見えるふうにしました。あと昼から夜へ時間を統一させようとショットを並べました。ナレーションで「私」の視点が入るとよりエモーショナルになって。この子が大きくなったら感動するんじゃないかな。


 

「ガラスたす、光たす、影たす、風」…


(上田さん)わたしが編集しました。似たショットを揃えて、意味がでてきたらと。あと細部のものに広いものをつなげ、世界とのつながりが見えるかなと思って。ナレーションで「ほんとにこの世界が好きで」「見つけた」っていう言葉と、目の輝きがつながってよかった。もう少し言葉を抜いても。映像も言葉もじっくり味わえるので。


 

「今日はわたし、まさちゃんの第九の演奏会」…


(上田さん)市民館の建物横の光がグラデーションですごいきれいですね。セットアップをして第九を歌う、ナレーションから歌になるところが感動する。そしたら誰もいない悲しさ。この展開。最初見たときはがらんとした空間を撮ってるだけかと思ったけれど、ナレーションで「そういうことだったんだ」と。楽しめました。


 

「国宝土偶、人呼んで縄文のビーナス」…


(上田さん)ナレーションで発見したんですけど、1個の土偶とたくさんのレプリカを1個の人格としてるってところがすごい想像力だなと思いました。子どものように、こういう風に語れるんだって。土偶が移動したりジェラート食べたり、現実を超えた世界を実現していてすばらしい。ご自身が楽しんでるのが愛らしくていいなと思いました。


 

「わたしが好きなもの、舞台マジロックオペラ」…


(上田さん)わたしが編集しました。カーテンの外に雪がちょっと見えている、ドライブに出て雪のなかにミラーボールがある風につないでいるんですが、雪のショットにつながるのと、室内のコーヒーカップを置くことで次のアクションにいくんだと予感します。引きの後に同じ角度でポンと寄りを入れる「ポン寄り」で、シチュエーションのなかに全体像と、細部の輝きの両方楽しむことができます。




ありがとうございました〜!


(上田さん)いやあ、言葉をその場でつけるこのやり方、いいですね。ほんとにみなさん、すばらしい作品になりました!



* * * * *

 

活動終了後、キャプテン・サポーターさんと上田さん、市民館スタッフで振り返りをしました。

 

〜キャプテン、サポーター・スタッフの感想〜

・みなさんの好きなものもすごく伝わってきた。

・言葉がつくとまた違うものになって。上田さんのアドバイスを参考に、もういちど自分でやってみようかな。

・これを撮るために離れた街まで行ってきたんです、そういうのも楽しかった。

・映像って音との関係でこんなに見えかたが変わるんだとびっくりしました。

 

〜上田さんより〜

つくるのが楽しいって感じてもらえたら何より。

(映画づくりのなかで)自分が出会った楽しさや美しさ、

それこそが「指差す」ということなので、

自分自身が体感できるのがほんとうにいちばん。



1分間の動画に内包された、たくさんの時間・空間、人の関わり、人となり。映像と言葉で、魅力あふれるたくさんの「1分映画」となりました。さらにチャレンジしてみてくださいね。

 

 

 

【部員日誌】

映画づくりにおいてスマホだけでショットを撮り(10shot)つなげ合わせ編集作業でこんなにも苦労するとは思ってもいませんでした。

PC編集ソフトを使ってやればどれだけ楽だったか⁉︎と、それでも覚悟を決めスマホのみで編集(パーフェクトvideo)をする中、PCソフトを使って何度やろうとしことか⁉︎(笑)

操作が思うようにならないイライラがけっこうつのってしまいましたが、きょうのナレーション創りはそれとは別でシナリオを創るような楽しさがありました。。

そういう楽しみ方も有ることにご満悦の自分でした。

 

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1分というちょっと長めのCMぐらいの長さの映像ですが、創っていても、見ていても長く感じました。「私の好きなもの」というお題で、ナレーションというよりモノローグで「映画」のようなアプローチをしたつもりでしたが、説明をせずに、わかってもらうのは難しいですね。(ついつい説明をしてしまう!)

 

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言われるままに映像を撮り、それにナレーションを付けて、どんな感じになるかとても不安でした。でも、短時間で自分なりの作品が完成したことについて、とても満足しています。自分への挑戦で良くやったなぁと、自分を褒めています。これからの自分の活動に、とても参考になりました。

 

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前回、今回とも、楽しく学ばせて頂きました。機械音痴で、スマホの機能も使いこなせない、そして、センスもない、心配だ~😞💦のスタートでしたが・・ホームビデオになっちゃう⁉️

撮り方を教えてもらって、思い通りとまではいきませんでしたが、思った以上の出来。WAKWAK💕 編集はすべてお任せでお願いしましたが、映像を見たとき、こんなふうになるんだと感激。ナレーションが入るとまた、感じが変わる。はまりそうです。皆さんの映像もどれも、個性が出ていて、よく練られていて、素晴らしかったです。

私の感覚と撮った方の感覚が全く違っていたり、私の思いと観てくれた方の感じ方も違っていたり、奥が深いなぁと・・・

難しかったけど、面白かったです。もっと、教えてもらって、また、作れたらいいな。

ありがとうございましたm(__)m

 

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並列という言葉が心に残っています。私の作ったものは、物語りが無かったなぁと感じました。他の方の映画とても面白かったです。また是非!開催してほしいです。今度はもう少し、進歩したいです。

 

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2日間、心温まるWSを、ありがとうございました。「私が好きなこと」というテーマであったことで、自分自身と自分をとりまく愛しい世界に、限られた時間を集中して充てることができ、とても幸せでした。

私は、結局1分間でナレーションを即興で入れたわけですが、入れたい思い付いたセリフと動画の尺が合わずに悩ましかったのも、かえって面白かったです。よく知った茅野市の風景が出て、娘と盛り上がりましたし、何といっても身近な風景や作画、お孫さん等々…心が温かくなる動画に終始幸せな気持ちになりました。「好き」のもつ力、凄いですよね❇️

オンラインでこのように交流のある創る場ができるとは感激でした。

 

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とても贅沢な講座でした。参加した人はとてもお得感があったと思います。やったもん勝ちですね。

映像に言葉が加わると、印象がガラリと変わると思いました。映像と言葉の関係も面白いと思いました。