映像特別編(その2)前半
参加者:16名・見学者3名
講師:上田謙太郎さん
スマートフォンの動画撮影機能をつかって、「わたしが好きなもの」をテーマに1分の動画をつくる「映像特別編」の2回目です。前回2/6から約2週間のあいだに「10ショット以内の映像を撮って、1分に編集した映画をつくる!」。
今回は①みんなで全作品を見る ②グループでコメントを伝え合う ③映像に合わせたナレーションをつくる ④ナレーションをつけて再度鑑賞する…行程です。ぎゅぎゅぎゅ!
(上田さん)おもしろい作品ばかりでわくわくしています。今日はナレーションをつけてより素敵にしていきましょう。
●見るまえに…「映画づくりとはどんなものか?」
(上田さん)今回、最初に「わたしの好きなもの」を思い浮かべて紙に書いてみた。「これを撮ろう」と頭のなかに設計図を立てる。そのときまず言葉で置き換えることが多い。具体的に劇映画だとシナリオがある。書いたものを映像に置き換えるという行為はうまくいかないことが多い。「こういうつもりで撮ろうと思ったけど違うなあ」ということ、あったと思います。それで、違うものを撮ったり、よりいいものが撮れたりする。次、編集となると、いいと思ったものがあまりよくない、うまくつながらないってことがあったと思います。そういう風に、頭のなかで描いたシナリオどおりに撮れないな、うまく編集できないなというとき、前に考えたことを殺していかないとうまくいかないんです。そうやっていくと、最後の最後で自分の出発点の考えに至る、再発見する。そういうプロセスを経て映画ができていく。「うまいこといかないな」の繰り返しで、「あ、これが求めていたものなんだ」と発見する過程ですね。
●見るまえに…「見て、コメントを書いて、共有して、ナレーションの種に」
ナレーションは、書いて、読んで、直して、また読んで…という風につくってみます。その前に…
(上田さん)映像は、自分が考えているようには他人は見てくれない。勝手なことを考える、狙いが外れる、それが意外と面白かったり、自分が見つけられなかったものを他人が見つけてくれるというのがあります。あと、「○○さんらしいね」っていう善意の理解よりは、初見の観客でもちゃんと中身がわかって引き込まれるという内容にできたらいいなと思っています。見て、そのあとメモをとってもらい、いろんな人のコメントを聞いて、ナレーションに取り入れていきましょう。
・映像そのものをよく見る
(上田さん)映像を見るとき、「意図」「意味」「物語」よりもまず、写っているものをよーく見る。長田弘の言葉で「受信力の回復を」というのがあります。観客自身がしっかり映像を見て受け止める、その余白をつくっておくことが大事だと思います。
・他者の目を入れる
(上田さん)「自分はこうだ」っていうのが強すぎると、自分のなかにとじこもった表現になってしまう。核は自分として持ってるんだけど、外に向かう、他人も共感できるものにしていくために、他人の言葉を真摯に聞いて、取り入れるところは取り入れる。譲らないところは譲らないという感じで、矛盾を越えていければなあと思っています。
●見るまえに…「メモをとるときの心得」
その1:もっと知りたいと思ったこと、引っかかって気になること、興味をもったこと…を書いてみる。
その2:単純に写っているものを書く。犬、山、雪、おじさん、こどもとか。あとは写っている動きのオノマトペ、擬音、あるいはセリフでもOK。水がしたたっていたら「ぽたぽた」とか、人がいたら「ああおなかすいた」とか、直感的に書いてほしいので無理に創作しなくてよいです。
試しに上田さんの映像で見本をやってみると…
「青空、広場、風が吹いている、ざわざわ、本を読んでいる人、魚の写真、本に落ちる光、、本を読む男性、真剣に読んでいる、光がきらきら」…
(上田さん)見ながら書くということはせず、まずは1分画面を凝視して、40秒でさささっと書く。4グループに分かれてあとで書いたものをそのまま読み上げて相手に伝えてください。では、上映します。
●1分映画、みんなで鑑賞
おおー。どれもすてきですねぇ。
●グループごとにコメントを共有
(上田さん)では4人ずつのグループに分かれてブレイクアウトルームでコメントを共有しましょう。ナレーションをつくるときの材料になります。ほかの人がどんなことを考えたか、メモをとってください。コメントを言う方は、感想よりもメモをとったことを本を読むように読み上げると、独特のイメージが立ち上がると思います。映像との関係性でなにが立ち上がってくるか、イメージしてみてください。では20分、どうぞ。
前半はここまで。後半は次の活動日誌をどうぞ!