2022年3月27日日曜日

【活動日誌】まとめの会(ゆったり+がりがり+映像特別編)

まとめの会(ゆったり+がりがり+映像特別編
2022327日(月)13:3016:00

参加者:27

講師:柏木陽さん

(メッセージ:上田謙太郎さん)


できれば直接顔を合わせて開催したかった「まとめの会」ですが、オンラインで行うことになり、がりがりコース、ゆったりコースそれぞれで前回、発表の準備をしました。そこに映像特別編も含めて、今回はオンライン大発表会です。


(柏木さん)どんなことをやってきたのかみんなで見ます。お茶を飲んだりお菓子を食べたりしながら楽しみましょう。みなさんお付き合いよろしくお願いいたします〜。



●ゆったりコースの発表

(柏木さん)ある種対極にあるような台本「ロミオとジュリエット」と「いかけしごむ」。今日はこの場でじっさいに読んでもらいます。まずは「ロミオとジュリエット」を選んだ3のみなさんです。ではどうぞ〜。

(柏木さん)非常に興味深いのは、男女で組んでいるチームの両方とも女性がロミオで男性がジュリエット。どうして?


(部員)夫婦でやってるロミジュリはおもしろくないって柏木さんが言ったので、逆にしたらちょっとはおもしろくなるかな、と。


(柏木さん)女性が勇ましかったり、男性が「だわよ」みたいな言葉づかいだったり、実際逆のほうがおもしろいですね。聞いてて楽しい。演劇って演技することを求められる。この台本は、読もうとするとすでに演技する状況になるのがおもしろいかなって思うんです。女性2人は、練習中からあんな重たい感じにする予定だったの?


(部員)ラブラブだったのにいよいよ別れちゃうから?


(柏木さん)ずっと重々しくてハムレットなのか?って感じだったけど、おもしろい感じでしたね。現状も、きっと当時も、こんな風にしゃべる人たちはいなかったと思うので、そういう意味でいわゆる「芝居がかった」台本を、一生に一回くらいは読んでみてもいいんじゃない?というセレクトでした。


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では「いかけしごむ」を選んだ6です。どうぞ〜。

(柏木さん)いろんな感じの人たちがいろんなキャスティングでやっていただいて、いろんな声があって。途中、物売りの声が聞こえてきたり、ああいうのぼくはいいなあと思うんです。ライブでやってるとそういうことがあって、最高ですね。感想きかせていただける方、どうですか?


(部員)画面が並んで、一緒にいるわけじゃないのに一緒に話しているように見える人たちが何人かいて、おもしろかったです。


(部員)そばにいないのに一緒に話してるのとか、かけあいの間がちょっとずれているんだけどおもしろい気がしたのと、練習を重ねているうちに変わっていったんだろうなと想像しながら見ました。外の音が入ってきたのが逆によくて、すごい可能性を感じました。


(柏木さん)いろんな考え方があって、劇世界を中断させられてしまうって人もいると思うんです。外の声・音が入ってくる、でも目の前で行われている世界があって、幕一枚しかないけど、ここのなかが劇世界。外音に取り囲まれたなかで演劇を見る、そういうほうがいいんじゃないってぼくは育ってきたというところがあります。


別役実さんは日本を代表する不条理劇の書き手で、彼の言葉は、間がうまく決まらなくても、たゆたうような不安定ななかで会話がされたとしても聞けるし、リモートであってもおもしろくなるかなあと選びました。不条理劇は日本だと196070年代にブームがきて、あとはだいぶ下火になってしまってますが、ぼくは非常におもしろいものだと思っていて、少しでも知っていただく機会になれば。

 


●映像特別編の鑑賞

(柏木さん)今日は映像特別編に参加された方もいらっしゃいますね。まずは上田さんのメッセージ映像を見て、ぜんぶの作品をみんなで見ましょう。映画館にいる気分でどうぞ。

(上田さんからメッセージ)「まなざす」こと。何かをじっと見て、これだと指差す。人に「ねえ、これ見て」と教えたくなる。いっしょに良さを分かち合いたくなる。それを映像として表現するっていうことを講座でやれたのかなって思います。なにかをまなざす、指差すにはまず出会わなければいけない。自分の日常やまわりの愛おしいものに目を向けた、小さなうつくしい映画作品がたくさんできたかなと思います。


「映像特別編」の作品については、こちらのブログをどうぞ↓

https://engekinotane2021.blogspot.com/2022/02/2_0.html#more


ぱちぱちぱち〜

 

(柏木さん)動画で残ってるのってちょっとした資産かもしれないですね。この講座に出てなかった方、どんな感想をお持ちですか?


(部員)話をしているだけではその人の内面ってわからないかもしれないんですけど、こういう映像だとその人の気持ちとか感じてることがストレートに伝わってきて、楽しかったです。


(部員)この方、こんなことに興味があったんだってわかってすてきな映像だと思いました。


(柏木さん)みなさんやっぱり映像表現に慣れてるんだなあ。むしろ演劇表現のほうが未知っていうか。ぼくは仕上がってない感じを探してしまう癖があるんですけど、ぜんぶ仕上がってるなあ。ぎゅっと見る視点とか興味の向かい方、社会のなかでなにが自分としてピックアップしたいものなのかというところが、見ていておもしろいですね。ありがとうございました〜。

 


●がりがりコースの発表

(柏木さん)前回録画したものを見ます。トータル55分!見ながらちょっとずつ振り返っていきたいと思うのですが。ではまいりましょう。

 

実験チーム

(柏木さん)こちらのチームはZOOMへの挑戦というか、声が重なると音がきこえなくなるっていうソフトの機能をどう遊ぼうってやっていたり。あとテキストに誘導されて動きがつくられていくんだけどそれが大事でもなく、歌も歌われてたりするけど歌を聞かせたいわけでもなく、っていうある種ぜんぶひっくるめてひとつの世界をつくろうとするような作品へのアプローチだったのかなって見ました。


印象に残ってるのは、テキスト全体が昭和初期の実験詩をやってた人たちを思い起こさせて。北園克衛さんとか。そのころは詩人と演劇をやる人たちが近いところにいて、共同で作品づくりをするっていうのを随分していたということを思い起こしたりします。ある種の実験のようなものが社会のなかでどう位置付けられていくのか、みたいなことを一生懸命試していたころの作品群に近いなあっていうふうに思ったりしました。


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藪の中チーム

(柏木さん)「つくりましたー」って、最初のあいさつからいいですよね。ぼくはあれも含めて作品な気がしています。舞台だと、劇場に来るところからもう作品なんですよね。そういう道のりも含めてぼくらは作品を見に行く。


すべての登場人物を絵でわからせますよね。ほっかむりをかぶることで農家のおばあちゃんだとわからせる、ウサギやクマ、ブナの木は絵で示していてとても記号的なんだけど、昔話みたいなものって記号の組み合わせでできてるところもあるので、そういう点では非常によい技術で表現していると思います。


で、最後おじいさんが出てきて、「夢でも見てたんじゃないか、それより飯にしてくれ」っていう、ある種の現実みたいなもので否定されて終わるんですが、見ているぼくらのほうはおじいさんのほうが現実じゃないような気がする。おばあさんは確かにいろんなものと話をしてきて、それを体験してきているぼくたちは、そういうふうにとらえる。


「喜劇」って笑う劇ではなくて、一周まわって現実にもどるっていう意味合いがあるのですが、そういう「喜劇の構造」になっていて、昔話のようなものもそういう構造ですよね。そうなっているのですごいなと思いました。


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浦島太郎・その後チーム

(柏木さん)このチームはぼくがまざっちゃったからあんまり言えないんだけど、背景変えたり小細工しちゃってるんですよね。で、そういう小細工って、楽しいですよねえ。。どれほどの効果があるのかっていうとほぼほぼ無駄だと思うんですけど、でもこういう無駄をやってるときがね、ほんと作り手としては一番楽しい時間だったりして。そういうのがやる気みたいなものと結びついていくと思うんですよね。効率良くとか無駄なことを省いてとか、そんなことを言うならやらないほうがいいってなる。やるんだとしたら無駄なことなんかを楽しくやっていけるといいのかなあと思ったりします。


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浦島太郎・インタビューチーム

(柏木さん)もてる知識となにかを駆使しておとながあばれまくった感じですね。浦島太郎の後日譚みたいなんだけど、浦島太郎が待ち合わせに来ないので乙姫が会いにいくっていう話。織姫と彦星とか、イザナギ・イザナミとか、会えない恋人の話っていっぱいあるんですけど、もともとの浦島伝説の話のなかでは、会えない恋人のパターンもあったらしいんです。こういうパターンって、ぼくら日本に暮らしてると「呼ばれる」のかな。みなさんに考えてもらっていて、どこかからひっぱってきているわけではないのにこうなっていくって、おもしろいなあと思いました。


乙姫が会う人会う人話が合わないんだけど、最後に出てくる温泉のおばちゃんとは意気投合する感じがあって、なんか非常によかったなあと思いました。


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写真チーム

(柏木さん)おとなのひとたちが盛大にあそんでますね。パパがときどき家出するっていう枠組みを用意して、違うお話をひとつにつなげてみて、あいだあいだにこどもの日記が入ることで家族がどのようにそれを受容しているのかっていうのが示されて、最後に家族が家出したところにパパが帰ってくるっていう設定になっているんですけど。


さっき「喜劇の構造」の話をしたんですけど、元に戻るっていう円環構造のように見えて、実はつながってないところに戻ってくるわけですよね。パパが帰ってきても家族はいないのでつながらない、これ「悲劇の構造」なんですね。「悲劇」って別に悲しいことをやるわけではなくて、もう戻らない、時間は戻らないんだってことを示すものっていうふうにいわれていて、喜劇の構造のように見えて悲劇の構造になっているような終わり方をした作品だったのかなって思いました。


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(柏木さん)ほんとは最後にみなさんからどのように感じたかお話きかせていただく予定だったのですが…。


(市民館スタッフ)全部見たら時間がぎりぎりになってしまいました。すみません。今日の感想をメールでお寄せいただいて、みなさんに共有していく形をとりたいなって思います。

 


●まとめ

(市民館スタッフ)今回の講座では、参加者の視点でいろいろ感想をいただいた、部活の「キャプテン」がいて、市民館と協働するサポートCの企画制作の担当者、そして柏木さんと、講座のはじまる前からいろいろ打ち合わせをして進めてきました。キャプテンからひとことずつどうぞ。

 

(キャプテン)自分自身が一番楽しめたのかなって。若い人からいろんな世代の人が参加されていて、みなさんの好きなことや本の話とかを聞いたりして、自分の好きなものだけを見るんじゃなくて、ほかの人がどういうものが好きなのかなっていうのも知れて、すごくよかったです。講師のすばらしい力でこれだけみんなで楽しめて、市外の人ともいっしょにワークができて、とってもよかったなって思いました。


(キャプテン)自分のなかのイメージをことばにできたのと、それでみんなで遊べたのが楽しかった。オンラインでこんなに楽しめるって思っていなかったので、ほんとよかったし、ほかの方たちも楽しんでいる感じがして、よかったなと思いました。


(柏木さん)こういうオンラインの企画って、受け取る人の受け取る環境によってほんとに変わってしまうものだと思うんです。ちっちゃい画面、おっきい画面、スピーカーとか、ノートパソコンでいろんなとこで見てますとか、そういったことがすべて、みなさんの側の環境のなかで行われていく。普通、ワークショップは会場に来ていただくので同じ条件っていえるんだけど、これ(オンライン)は同じ条件ではないわけです。


で、逆にいえば同じ条件じゃないからこそ、「じゃあ散歩しながら参加しよう」があってもいいわけですし、「カフェで参加しよう」があってもいいと思うんです。そういう点ではものすごく自由だし、離れた地域から参加いただけるという可能性もあるわけです。ある意味では可能性もあるし、限界もあるし、平等でもないんだけど、いろんな穴があって、いろんな可能性があるのかなって思います。ワークショップに慣れている人には物足りなかった部分もあるかもしれませんが、だからこそできているんだなあとも思い、みなさんに最大限の感謝を。


キャプテンのみなさんは、時間的には負担があったかもしれないけど、「実は一番得したかもね。こういうのは案外、役得よね」って思ったのですがどうでしょう。今後、もしそういうお声がけがあったときは「あら役得なの?じゃ、やってみようかしら」みたいな感じでぜひご参加いただければと思います。

柏木さん、ありがとうございました〜

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オンラインで演劇、楽しんじゃいましたね。

みなさん、ありがとうございました〜。



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【部員日誌】「まとめの会」での感想(抜粋です)

この様な機会は貴重で、人生でそうそう無いだろうと思います。糧にというと重いですが、経験できたことはとても喜ばしいです。

 

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台本を読むことがとても新鮮で楽しかったです。関係性を構築しながら、本も解釈するという時間がとてもフレッシュで、大変尊い時間になりました。いろんな年齢、いろんな背景、興味、知らない人、最後までしゃべらなかった人もたくさんで、映像特別編ではしばらく会っていない方の近況をしったり。オンラインの講座の混ざり合うことなく画面上で混沌と滞在している感じも楽しかったです。

 

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それぞれのみなさんが、自分の何かと向かい合って、時間をかけて作ったものをまとめて見れて、時々胸がいっぱいになり涙腺にきました。今回、人と人が関わって新たに生まれた作品を味わえる超楽しい時間でした。

 

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発表してみて課題も見えたり、緊張との付き合い方とか、とにかく台本を読んでみたかったので願いが叶いました。

 

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演劇をWS形式で一つの作品を作る体験は、初めて。申し込みに対して随分、逡巡した事を思い出しました。終わった今、思うのは体験してみて良かったという事です。11人の感性の違いからくる物事の見方に対する多様性や形にしていく楽しさを感じました。

 

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皆さんの発表を拝見して、いろいろな表現のアプローチがあることを知りとても参考になりました。

 

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オンライン演劇では今迄の概念を乗り越え演劇が出来るとそんな気がしました。今回と一緒のチームで演劇を創りたいと感じました。上手くいくいかないではなく面白いリアルな演劇をしたいものです。ひとつだけ残念だったのは、もっと柏木さんと話をしたかったと感じましたね。やはりリアル柏木さんが良いですね。 ハハハ‼️

 

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Zoomでどのように演劇作品を作っていくのか、その過程も含めてノウハウを学べたらと思い、参加しました。背景画面を変えるなどZoomの特性を上手に活用していたり、楽器や音響、小道具、衣装など様々な工夫があってとても参考になりました。台本読みも拝見し、それほど違和感がなかったので、朗読劇もZoomで出来ると感じました。

 

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話し合う中でいろいろなアイデアが出て、そのアイデアの種が育って絡まってお話ができました。1分の映像作品がどれもこれもすばらしくて、本当にちょっとした映画を見ているようでした。柏木さんの喜劇の構図と悲劇の構図のお話がとても興味深かったです。

 

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本当にメカに弱く、ズーム演劇なんて可能かなあと思ってましたが、メンバーがそれぞれ創造的で何より楽しいものを創ろうよという意欲に溢れていて、練習の過程が本当に愉しかったです。「鉄は熱いうちに」新年度の企画でズーム演劇「演劇の花 咲かせましょう」を提案しておきましたが、早々にうちのチームでも「オリジナル短編やろう」と盛り上がってます。希望の方ご一緒しませんか。

 

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自分たちのグループの場合は、創り上げるには、皆んなでの話し合いの時間が足りなかったと思いました。「ゆったり」では最後、時間の限り練習した事は良い思い出になりました。(^-^)

 

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「スマホ」しばりの無い、映像WSを期待します!「演劇の種」がライブで出来るようになれば、それを撮って編集してみる、なんていうのも面白いかも

 

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今まで敬遠していた「画面上での交流や遊び、創作」に対して、ハードルも下がったし、こんなこともできるんだ…と、知らなかった可能性にも気付いた自分がいます。おっかなびっくり始まったzoom内のグループ創作ですが、途中からは距離を忘れての白熱した時間となり、あっと言う間の最終回発表でした。欲を言えば、もう少し柏木さんのお話をお聞きする時間があればとても嬉しかったですが、あんなに時間が押してしまったのだから、是非また次の機会に…!と思っております。zoomというのは、小さな画面でしか繋がれないわけですが、そのことでかえって、対面している時よりも真剣に全集中でその人を見たり聞いたりするものですね。

 

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今回は企画全体がオンラインでしたが、それを逆手にとって、距離の離れた人々を結びつけることができたのも面白いことでした。いずれオフラインで皆さんにお目にかかれたらなぁと思いました。

 

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皆さんで直接集まってのワークは出来なかったけど、オンラインにはオンラインのよさがあり、普段ならば、出会うことのない方との出会いもあり、貴重な機会でした。時間がなく、その場での感じたままの生の感想が聞けなかったのは残念でした。感想を語り合うことで、気づきが生まれたり、新しい発見があったりしたんじゃないかな。

 

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古典の「ロミオとジュリエット」を選択して、本読みにチャレンジしました。古典と言えば芝居がかった台詞回しという先入観が消え去っていきました。どの作品も面白く興味深くて、あんなに楽しい作品が創れることにびっくりしました。オリジナル制作だからでしょうが、台詞ものびのびいきいきしていて、みなさんの楽しさが伝わってきました。

 

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オンラインだからこその、表現への模索が興味深かったです。柏木先生には、現場を面白がること、余白や未完成の豊かさを思い出させていただきました。やはり、誰かと繋がり化学反応が起き、その過程がとても愛おしいと思いました。上田先生の講義は、とても丁寧でなんと優しさに満ち満ちているのだろうと。ご一緒させていただいた方々の人となりも、リアルよりは情報量が少ないとはいえ、、、伝わってくるものがあり、交流が嬉しかったです。

 

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自分たちのチームは、即興でやってみた作品だったのに対し、他のチームのじっくり構成された作品を見て、どんな風に作ったのか、進め方などを知りたくなりました。

 

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今回、キャプテンになって柏木さんのお話も沢山聴くことができ、役得でした。とにかく、皆さんのそれぞれの気持ちや想いにあふれたとても楽しい講座でした。

 

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人前に立つのは苦手ですが、それでも見たり、聞いたりして感じる心は、いつまでも持っていたいし、想像する力も広げていきたいと思っている。コロナの中で出かけられないし、寒いし、でも柏木さんの講座に参加できて、楽しくて幸せな時間を過ごせました。ありがとうございました。